乳がんについて乳がんの手術について当院での乳がん治療の基本方針

乳腺外科担当医

部長:高塚 雄一
部長:高塚 雄一

名前 高塚 雄一(たかつか ゆういち)
専門 乳腺外科
略歴 昭和45年大阪大学医学部卒業
昭和55年国立大阪病院外科勤務
平成7年より関西労災病院外科勤務
平成12年より16年まで大阪大学医学部臨床教授
資格と主な活動 日本乳癌学会専門医
日本外科学会指導医
日本外科学会専門医
日本臨床腫瘍学会暫定指導医
日本乳癌学会幹事
日本外科学会評議員
日本癌治療学会評議員
日本臨床外科学会評議員
近畿外科学会評議員

医員:柄川 千代美
副部長:柄川 千代美

名前 柄川 千代美(えがわ ちよみ)
専門 乳腺外科
略歴 平成6年和歌山県立医科大学卒業
同年大阪大学腫瘍外科研修
平成15年大阪大学医学部大学院終了
同年大阪府立成人病センター勤務
平成19年より関西労災病院外科勤務
資格と主な活動 日本外科学会専門医
日本乳癌学会専門医

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乳がんについて

【乳腺の構造と乳がんの関係】

乳がんのほとんどはしこりで見つかります。
中にはしこりがなく、レントゲンやエコーで見つかる場合もあります。
母乳を作る乳腺細胞の遺伝子に異変がおこり、がん細胞になります。
がん細胞は女性ホルモン(エストロゲン)のもとで分裂を繰り返して増殖し、しこりを作ります。さらに進行すると、リンパ節や他の臓器に転移を起こします。

【乳がんの種類】

乳がんは、非浸潤がんと浸潤がんとに大きく分けられます。 非浸潤がんでは、腫瘍もしくは乳房を切除すれば、再発する危険性はきわめて低く、わきのリンパ節を切除する必要もありません。 一般にみられるのは、浸潤がんの方ですが、この場合には手術だけでなく薬物療法、放射線療法を併用して再発する可能性をできるだけ低くすることが重要になってきます。 わきのリンパ節を切除することが標準ですが、当院ではセンチネルリンパ節生検によりリンパ節の切除をさける新しい治療法を取り入れています。

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乳がんの手術について

  • 乳がんの手術法は、乳房温存術と乳房切除術があります。
  • 乳房温存術を行うには、“しこりが一つで大きさが3cm以下である”などの条件があります。術後、5〜6週間にわたり外来で毎日放射線療法を行います。
  • 乳房温存術が適応でない方、もしくは希望されない方には、乳房切除術を行います。
  • 術後に乳房再建術を行うことも可能です。
  • 乳房温存術、乳房切除術いずれの場合でも、わきのリンパ節郭清は重要ですが、これにより3〜4割の方に腕のしびれ、腫れ、痛みなどの後遺症が残ります。当院では、センチネルリンパ節生検により転移陰性の方には郭清を省略し、良好な成績を治めています。
  • 乳房温存術は、乳房切除術と生命予後がかわらないことが確認されています。
  • 手術は全身麻酔で、いずれも2時間程度です。翌日から歩けますし、食事もご自分で取れます。手術直後は腕が少し動かしにくいですが、リハビリによりもとに戻ります。
  乳房温存術 乳房切除術
麻酔 全身麻酔
手術方法 がんを含めた乳腺の一部を切除。
わきのリンパ節を切除。
乳房を全部、胸の筋肉をとることもあります。
わきのリンパ節を切除。
放射線療法 全ての方に、残した乳房に25〜30回行います。(5〜6週) リンパ節転移の状況により行います。
薬物療法 再発を防ぐためにホルモン剤、抗がん剤や分子標的治療(ハーセプチン)を使用することがあります。
手術後に説明・相談します。
治療成績 手術後の生存率に差はありません。
ただし、乳房温存術では残した乳房に再発することがあり、その場合には乳房切除などの再手術が必要となります。
日本の成績では、残した乳房の再発は10年間で約5〜7%程度です。
再発後に再切除を行えば、はじめから乳房切除した場合と予後に変りはありません。

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当院での乳がん治療の基本方針

【科学的根拠(エビデンス)に基づいた治療と新しい治療法の開発】

乳がんの治療では、科学的根拠(エビンデス)に基づいた標準的治療を行う必要があります。そのうような治療が行われない場合は、治るべき患者さんが再発したり、再発後の治療においては生活の質(QOL)が著しく低下するということがおこりかねません。
当院では、まずはエビデンスに基づいた国際的に標準とされている治療法を提示します。また、新しい有望な治療法(臨床試験)の対象となる患者さんには、その説明も行い、治療法を患者さんと医師とで選択するように心がけています。
当院は、乳がん専門病院として、関西や日本における乳がん治療を専門とする病院により構成される組織で行われている臨床試験などに積極的に参加しています。

【センチネルリンパ節生検】

わきのリンパ節のそうじ(リンパ節郭清)は重要ですが、これにより3〜4割の方に腕のしびれ、腫れ、痛みなどの後遺症が残ります。
そのため、あきらかなリンパ節転移がない方を対象として、色素によりがん細胞が最初に流れつくリンパ節(センチネルリンパ節)を染めて、これにがん細胞がなければ、他のリンパ節を切除しないという新しい方法を取り入れています。
当院では、60例の方でセンチネルリンパ節と、残りのリンパ節の転移状況の比較を行い、100%の一致をみることを確認しています。
センチネルリンパ節生検は、当院では、先進医療として希望される方に行っており、2/3の方が不要なリンパ節郭清を避けることができています。
現在のところ、800例を超える方にセンチネルリンパ節生検を行っています。センチネルリンパ節の発見率は95%以上ですが、センチネルリンパ節が見つからない場合は通常のリンパ節郭清をすることになります。また、5%以下の確率ですが、手術後の詳しい検査でリンパ節転移が発見され、再手術を要する場合も有ります。

【術前化学(ホルモン)療法】

しこりが大きく温存療法が適応にならないかたなどを対象として、手術前に抗がん剤やホルモン剤を3〜6ヶ月間使用したのちに手術をする治療法です。
この治療法でしこりが十分に小さくなれば、温存術ができるようになる場合があります。
これらのお薬は再発予防のために術後に使用するものと同じなので、お薬が患者さんに合うかどうか、あらかじめ調べられるという利点もあります。
まれに治療中にしこりが大きくなることがあり(5%以下)、この場合には途中で手術が必要になることがあります。

【術後薬物療法】

術後に再発する可能性をできるだけ低くするため、薬物療法を行います。乳がんの場合には、国際的な薬物療法のガイドラインが2〜3年ごとに出されています。しかし、現在行われている標準治療も完全なものではなく、さらによりよいものにするために、新しい治療法の開発が行われており、このような臨床試験への参加をお願いすることもあります。

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