前ページでは「心臓血管センター」の概要や導入効果についてふれています。このページではさらに踏み込んで、循環器科と心臓血管外科の垣根を低くした、同センターの先進的な取り組みについて座談会が進みます。
柴田部長:
そもそもCCU(冠動脈集中治療室)は内科治療を主に行う施設です。ところが、当病院のCCUでは、心臓血管外科の手術直後の治療も行っています。つまり重症治療に循環器科・心臓血管外科の連携システムが構築されています。このようなCCUは全国的にみても、極めて希少な例ではないでしょうか。
南都部長:
セクショナリズム(部局割拠主義)の壁がなくなっているのは事実ですね。
奥院長:
当院は、どこの病棟にどの患者様を入れてもいいという方針です。その意味では、医師の皆さんやや看護師さんたちがよく対応してくれているという思いがあります。
柴田部長:
CCUは病床にゆとりが必要です。いつも満床だと、救急・重症の患者様を受け入れられません。CCU, post CCU, 北4病棟の各看護師長さんは毎朝病棟運用ミーティングを行い、CCU病床確保に努力してくれています。また、かつてのHCUは少ない看護師で重症管理をしており超過勤務も多かったようですが、CCU開設後は超過勤務も減っていると聞いています。
南都部長:
直近では2007年7月が72%、8月が80%。これはほぼ目論見通りの数字です。絶えず空きベッドを用意することが可能になって、重症の患者様をお断りすることなく常時受け入れられる体制ができました。加えて、センター内にPOST-CCUと一般病棟を備えているため、患者様の容態をみながら最も良い時期に後送ベッドにだすことができます。よって、一般病棟の病床稼働率が明らかに好転しました。各セクションが同じフロアーにあり、それぞれの看護師長さんが、有機的につながって治療・看護にあたっていることも大きな要因です。
奥院長:
患者様にすれば頻回にベッドを移ることになりますが、不都合はありませんか。
南都部長:
ベッドを移れば移るほど快方に向かっているわけです。看護師さんたちも「(ベッドを移るほど)あなたは良くなっているのよ」と声をかけています。患者様には好評だと聞いています。
柴田部長:
患者様にとってメリットが大きいのはもちろんですが、若い医師や看護師にとっても訓練を積み、経験値を高める環境が整っています。たとえばエコーやカテーテル治療の画像も、いつでもオンラインで見ることができるわけです。カテーテル治療などをみていると、循環器科ではこういうことができるのか、という驚きもあります。循環器科医、心臓血管外科医ともに、お互いの専門領域を間近にみることができて、大いに刺激になっています。たとえば動脈血栓症の患者様には循環器科医・心臓血管外科医の合同チームがカテーテル室で血栓除去手術とカテーテル治療を同時に行い、より完成度の高い治療をめざしています。
南都部長:
国内の循環器系治療の水準からみて、当院はかなりハイレベルの虚血性心臓病、不整脈疾患に対する治療を行っていると思います。たとえば、高度先進治療下で認可されているレーザー血管形成術の国内での数少ない実施施設です。そのほか、ローターブレーター、植え込み型心室除細動装置、両室ペースメーカーの認定施設でもあります。
柴田部長:
ここでは心臓血管外科は循環器科を補完するかたちで機能しています。冠動脈、弁膜症、大血管・末梢血管、不整脈という分野がありますが、循環器科・心臓血管外科のそれぞれの得意分野を活かす形で治療方針をたてています。手術が難しい場合には循環器科と連携することで、新しい心臓血管外科の方向性(ハイブリッド治療)を探っていくことが可能です。
奥院長:
病院全体からすれば、心臓血管センターは1セクションです。それだけに、このセクションが活発に機能することで、他への波及効果を期待しています。実際、循環器科と心臓血管外科の連携は、高度先進医療を可能にしています。これを他のセクションにも活かしていきたいですね。
私は脳神経外科を専門領域としていますが、その分野でも心臓血管センターでの実績を活かしながら、「脳神経センター」開設やがん治療におけるチーム医療のさらなる推進という思いもあります。各専門領域が連携することで、病院は質的レベルアップを図っていくことができます。そのスタートとして今回の心臓血管センターが大きな役割を果たしてくれることと期待しています。