
【WOC看護認定看護師とは】
創傷:Wound,ストーマ:Ostomy,失禁:Continenceの頭文字をとった略語で、創傷ケアとはお腹や足などの傷や床ずれの創傷治癒環境の整えや床ずれの予防ケアを行います。また手術でストーマを造った方の新しい排泄方法の社会復帰へのサポートや退院後の生活相談に応じに応じ、失禁ケアでは排尿・排便障害へのサポートや失禁に伴うスキンケアを行います。当院では失禁について十分関われていないのですが、少しでも生活への負担がかからないようサポートできる手段を考え、取り組みたいと思います。
【ストーマとは】
人工肛門や人工膀胱など腸や膀胱の病気のためにお腹の上に作られた排泄口をいいます。
ストーマは装具といわれる皮膚保護材つきの袋を装着して、便や尿の排泄管理を行います。 |
―――病院生活の中で辛かったこと、嬉しかったことはなんだったでしょうか?
患者様:お腹から腸が出てきて、こんなところから絶えず排便をすることになったことが本当にショックで、どん底に突き落とされた感じでした。どうやって生活していけばいいのか、私の周りには誰も経験者がいなかったので、誰に聞けばいいのか分からず、本当に不安ばかりでした。 そんな状態の中、渡邉さんが毎日病室に来てくれました。冗談なんかもおり交ぜながら、身体と心のケアをしてくれました。本当に嬉しかったです。心のケア以上に人間をホッとさせてくれるものはないと思うんです。落ち込んだときに、病棟の担当の看護師さんに来ていただいても、自分の中で抱え込んでしまって、なかなか口に出せないことがありました。そんなときには誰かにすがりたいと思いました。自分にとってはとても大きなことでも、他人から見ればたわいないことなのかなと思い、『こんなことを聞いてもいいのかな』と悩むこともありました。そんなときに渡邉さんは優しく応えてくれました。
 ―――退院されてからの元気の源は何ですか?
患者様:渡邉さんに会えることですね。ストーマは1日24時間、時間に関係なく管理が必要なんです。今までは、予約時間以外に行ったらダメだと思い、問題があっても我慢をしていました。ところが彼女は『肌が荒れて困っているなら、いつでもおいで』と言ってくれました。そんな彼女の言葉は、私に何よりも『安心』を与えてくれました。この声が私の元気の源です。彼女には本当に感謝しています。人間は感謝しなければ先に進めませんからね。どん底の状態からの入院生活でしたが、冗談を言って笑わせてくれたり、こんなに楽しい思いをさせてもらった入院生活は他ではありませんでした。
―――何か渡邉さんとのエピソードをお話していただけますか?
患者様:入院中、自宅でどうしても外せない用事ができたときの話なんですが、外泊したいとお願いしたんですが、先生からは状態が悪いからダメだと言われ、担当の看護師さんたちからも、身体と家の用事とどちらが大事か考えてみてと言われました。そんなとき、渡邉さんが先生に『私がちゃんと処置の仕方を教えるから大丈夫』と外泊の承諾を取り付けてくれました。今でも、彼女にはとても感謝しています。
―――ところで、渡邉さんのような認定看護師と一般の看護師との違いを感じられましたか?
患者様:もちろん、その領域の専門なので、処置の方法等を病棟の担当の看護師さんにきちんと伝えてくれていて安心しました。本当のことを言うと、入院中、渡邉さんがお休みのときが一番不安だったんですよ。
 ―――同じ病気の方に向けてのメッセージをお願いします。
患者様:私にはストーマのことを訊ねる仲間がいませんでしたし、最初は出口のないトンネルに入ったと思いました。しかし、いろんな経験をして、身体と心のケアを受けて、初めて、現在、不安に思っていらっしゃる方に『大丈夫やで』『冗談も言えるようになるよ』と励ましてあげることができるようになったと思います。『こういうやり方をしたら、こうやって生きていけるで』
ということを同じ境遇の方に伝えていくことがお世話になった方への恩返しだと思っています。
 ―――看護師へのメッセージはありますか?
患者様:技術はもちろんでしょうが、ひとりひとりの人間性が大切だと思います。渡邉さんも怒らずにしょうもない話も聞いてくれるのと同時に、処置のことなどはきちんと教えてくれました。これほど信頼関係を築くことができたのは数回の入院を通じ、初めてのことでした。
 ―――渡邉さんの立場から、患者様に対してどのように接してきましたか?
看護師:ストーマは排泄、性機能に関わるデリケートなことなので、病棟のナースが患者様との関係の中で踏み込めないところがあったとしても、私には、専門という立場で踏み込めるきっかけが持てることがあります。患者様と信頼関係を作るためには時間と場所を共有し、自分の立ち位置としては受け持ちの病棟のナースとの関係を考えて接しています。
入院される患者様はストーマを持つことで少なからずショックを受けられて、口にされる希望・目標が漠然としている場合が多くあります。そんな漠然とした希望や目標に対して「自分で装具のはりかえができるようになる」「もれないようにする」など具体的な短期で解決できる目標を提示し、最終目標の社会復帰にむけて「じゃあ、電車に乗れるようになる」「エレベーターに乗れるようになる」といった生活上の目標を設定するようにしています。
 ―――コミュニケーションを取ろうとしてくれる患者様だけではないと思いますが、そんな時にはどうやって取り組まれますか?
看護師:ストーマを作られた患者様にはまず体の問題を解決しなければ、心が落ち着くことがないはずです。そのために装具を選択し、漏れないようにストーマ装具を貼る方法を指導・確立します。それと注意深く患者様の変化を見るようにしています。たとえばひげを剃った、留置している管が1本減った、爪を切った・・・などなど、それを患者様が話してくださろうとくれまいと、それを口にして話しかけるようにしています。そんな直接的なケアで関わっていくうちに徐々に心を開いて言葉を交わすことが多くあります。そのために時間と場所を共有することは大切だと思っています。先ほどお話しした『電車に乗る』『静かなエレベーターに乗る』というのはストーマを持つ方には緊張を強いる一瞬だと思います。そういうわけですから、「今日は電車でストーマ外来に来た」と聞くと「すごい、良かったですね。どんな気持ちでしたか?」と一緒に喜び、その時の気持ちを聞かせていただきます。なんといってもストーマを持たない私がストーマ外来をしているのですから、生活のことや気持ちのことは患者様が先生なのです。
 ―――看護の質の向上について、総括的な意見を。
副部長:患者様は、実にさまざまな思いを抱えて入院されています。私達看護師は、その思いに『より近く寄り添う努力』をしていかねばなりません。また、臨床の場で看護の質を上げていくためには、熟練した看護技術やより深い知識を必要とします。患者様やご家族の相談に乗ってさしあげたり、病棟看護師の指導をしたりなど、より良い看護実践を提供するためには、やはり、今回登場した渡邉WOC認定看護師のような認定看護師の力が欠かせないと思います。 常に学び続けるという姿勢を忘れずに、キャリアアップをして、それを実践に活かしていくことが私たち看護師には必要だと思います。
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